昔の旅日記

1999年 秋  堕落への始まり

「はぁ・・・。しかし勝てねぇな」

高校の部活を二年で辞めてからというもの、彼はパチスロにのめり込んでいた。

さすがに制服でパチンコ屋に入るわけにもいかないので、いつもカバンの中にはTシャツとズボンが

入っていた。

決して博才があった訳ではない。スリルを味わいたいだけだった。

だから負けた。とことん負けた。

しかし彼は負けず嫌いだった。負けると悔しくて悔しくてしょうがなかった。

何を犠牲にしてでも勝ちたい!そんな気持ちを胸に月日は流れていく。







彼は自分しか信じられなくなっていた。

理屈でしか物事を考えられなくなっていた。

異常なストレスにより二年間で胃カメラを二回飲むほど体調を崩していた。

そのかわり勝てるようになった。欲しいものが何でも手に入るほど金が増えていった。

彼はもはや何の為に自分が稼いでいるのか分からなかった。

『金をたくさん貯めることによって自分の未来は開かれる』

そう漠然と考えていた。

一年365日の内、350日はパチスロを打った。得るものは金のみ。


彼はギャンブルに勝ち、人生に負けていたのだ。






2001年 春 灰色の日々

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